==================================================== こえせん♪ボイスドラマ Act.9 【 青春執筆 】 ==================================================== << 出演 >>  小説家 みつば:音枝優日 編集担当 ハナ:鶴瀬椎 (声のイメージは声優様にお任せ!) ▼台本ここから▼ ==================================================== ■小説家 ごくごくごく……ぶっはぁ!! か〜〜!! うめぇ〜〜〜!! 昼間っから飲む酒はなんでこんなにうまいかねぇ!! ■編集担当 あの〜、みつば先生…… ■小説家 ほら! ハナちゃんも飲みなさい! 天気もいいし、あったかいし、風も気持ちいいし。 絶好のお花見日和じゃないか〜! ■編集担当 いえ、仕事中ですので、私は結構です(汗) というか、先生も仕事中なんですが! ■小説家 え〜? 「少し気分転換でも」って言ったのはハナちゃんだよ? この時期に気分転換って言ったらお花見しかないでしょう! ■編集担当 いや確かに言いましたけど! それは先生のアイディアが全然浮かばないから ちょっとリフレッシュされたほうがいいのかなと思って…… あ〜、でもまさかお酒を飲み始めるとは…… ■小説家 まあまあ! とりあえず君も一杯やりねぇ!! ■編集担当 だからやりませんって!! もー! 来月の雑誌に載せる短編小説32ページ! テーマは春らしいピュアな恋愛もの! う〜……締め切り今日までなのに〜(汗) ■小説家 ごくごく……ぷはぁ! いや〜、それがさっぱり思い浮かばないんだよね〜。 ■編集担当 なんでですか! 2週間あったらできるって 言ったの、みつば先生ですよ!? ■小説家 あれ〜? 言ったっけ、そんなこと〜? ■編集担当 すっとぼけないでください! 急遽、他の先生の都合が悪くなって雑誌の枠がひとつ空いたんで ダメもとでご相談したら「原稿料いいからOK♪」とか言って 安請け合いしたの忘れたんですか!? ■小説家 わすれた!! ■編集担当 あ゛ぁっ!?(ギロッとにらみつける) ■小説家 こわ! ちょ〜っと、そんな怖い顔しないでよハナちゃん。 ■編集担当 はぁ……なんだか最近疲れがとれないのは この人のせいなのかな〜?(汗) ■小説家 今なんかすごく失礼なこと言われた気がした! ひどくなーい? ……ごくごく、ぷはぁ! ■編集担当 いいかげん、お酒を置いてください! 先生のそういうところを言ってるんです! とにかく、短編恋愛小説32ページ、今日まで! なんとかならないんですか? ■小説家 え〜? う〜んとね、そもそもね…… あ、言い訳してもいい? ■編集担当 ストレートに聞いてきた!? ……き、聞きましょう。 ■小説家 うん、そもそもね、私が得意なのは歴史ものであって 戦国武将とか、新撰組とか、歴史上の人たちから インスピレーションを受けて作っていくタイプなの。 それをいきなり恋愛ものって……無理だよね! ■編集担当 ストレートに投げ出した!! ……って! 今更何言ってんですか!? 無理でもなんでも、もう枠は決まってるんです! 先生もプロのはしくれなら、何とかしてください〜!! ■小説家 「はしくれ」って……君もストレートに言うわね! まぁ間違ってないけど。(明るく) ■編集担当 開き直らないでください! あぁ……ここで原稿が上がらなかったら 私、編集長になんて言われるか…… ■小説家 なんて言われるの? ■編集担当 あ゛ぁ!?(ギロッとにらみつける) ■小説家 すみません。 ■編集担当 はぁ……何か、何かないんですか? たとえば、今までの先生の経験談とかで。 ■小説家 私の? 何の経験? ■編集担当 いや、恋愛ですよ! あるでしょう? いい歳こいてんですから、コイバナのひとつやふたつ! ■小説家 え〜! ないよそんなの!! ■編集担当 ほら、たとえば学生の頃の「青春の1ページ」みたいな! ■小説家 本のページめくってただけだったねー。 ■編集担当 うまいこと言わないで下さい! あ、それってもしかして、誰かと交換日記してた、とか!? ■小説家 いつの時代の学生よ。ないない。 ■編集担当 う〜ん、それじゃあ、突然告白された、とか! ■小説家 だから何もなかったって。 ■編集担当 はぁ(ため息)……つまらない人生ですね。 ■小説家 さすがにそれは言いすぎじゃない!? だってさ! なかったんだもん、しょーがないじゃん! てか、そういうハナちゃんはどうだったのよ? ■編集担当 え? 私ですか? ■小説家 人にそれだけ言えるってことは、君はさぞ 経験ご豊富なんでしょうな〜? ■編集担当 はぁ!? いえ、私は別にそんな……(汗) ■小説家 ほれ! 言ってみ? ハナちゃんの自慢のコイバナ聞かせてみ!? ■編集担当 そ、そんな……と、特にないですよ! ■小説家 つまらない人生だね。 ■編集担当 うっ!(汗) ■小説家 ほら、悔しかったら言ってみなさい? ていうか、でないと私、小説書けないよ? ■編集担当 なっ! そ、それは、困るんですけど……(汗)  ■小説家 え〜っと、なんだっけ? 学生の時に? 交換日記して? 突然告白された、とかさ? ■編集担当 あ、あれはその! ちょっとした気の迷いっていうか、 若気のいたりっていうか!! ■小説家 え? ■編集担当 え? ■編集担当 ハナちゃん! まさか……マジ? マジのやつ!? ■編集担当 私、今、何か? ■小説家 すっとぼけてる!? ■編集担当 あ、あれは、えっと……(あたふた) ■小説家 あー! マジかー! 交換日記しちゃってたかー! ■編集担当 あわわわわ、忘れてください!! 今のなし! なし! なーーし!! ■小説家 いや、もう私の頭の中では、ハナちゃんの初々しい 恋愛ストーリーが浮かんで来てんだけど。 ■編集担当 えぇ!? そうなんですか!? ■小説家 そうそう。だからさ、それもう少し詳しく教えてくれない? ■編集担当 そ、そんな! ……は、はずかしい、です(汗) ■小説家 締め切り、間に合わないよ? ■編集担当 ぐっ! ■小説家 まぁ言いたくないならいいけど? あ〜あ。ハナちゃん、編集長に怒られちゃうか〜。 あの人、怒ったらすっげぇ怖いんだよね〜。 ■編集担当 あ、あ、う、うぅ〜(汗) ■小説家 ほら、オネエさんに全部話してごらん? 話せば楽になるよ? ん〜? ■編集担当 ……わ、わかり……ました。 ■小説家 よっしゃ! そうこなくっちゃ! あ、そうだ? お酒飲む? ■編集担当 い、いただきます。……ごくごく、ぶはぁ!! ■小説家 おお〜! いい飲みっぷりだねぇ!! ■編集担当(酔っ払って) あ〜、もういいです。話しましゅよ! 話しゃいいんでしょうよ! こんちきしょー!! ■小説家 酔うのはや!! ■編集担当 うー、あれはですね。 高校の時に、ちょっといいな〜って思ってた男子がいてですね。 あ、彼は山本君っていうんですけど…… ■小説家 まさかの実名まで!! (このあたりからあまり間を空けず流す感じで) ■編集担当 その山本君のほうから、ある日の放課後 突然私に話しかけてきたんですよ、交換日記しないかって。 ■小説家 ほいほい! ■編集担当 その時は彼、ノートだけ渡してすぐ帰っちゃったんですけど 私も帰ってからノート読んでみるとですね、その、 私のこと、すき、みたいなことを、いろいろと書いてありまして…… ■小説家 おお! まさに青春だね!! ■編集担当 そうですよ、私にだってねぇ、私にだって! 青春してた日々があったんでしゅよ〜!(泣き気味) ■小説家 よーし! その調子でどんどんいこう! ほら、飲んで飲んで! ■編集担当 ひっく! それでぇ! 私もさっそく返事を書いて 次の日にですね〜…… ■小説家 うんうん! (編集:フェードアウト) ///////////////////////////////////////////////////// ■編集担当(ナレーションっぽく) こうして、私の青春の1ページが、みつば先生の手により ひとつの小説となり、雑誌に掲載されました。 恥ずかしいことこの上ないですが、ただ、その小説が 自分で読んでもドキドキてしまうくらい、とても良い出来栄えで 世間でも、ちょっとした話題になりました。 さんざん迷惑かけられましたけど、結果オーライということで まぁ今回はよしとしましょう。 それに、どんなにだらしなくても、やはりプロの小説家。 少し見直しましたよ、みつば先生。 ■小説家 う〜ん、思い浮かばない〜。 ■編集担当 ……と、思ってたんですけどね! なんで今月分の短編がまだ上がってないんですか!? ■小説家 だってまた恋愛ものじゃーん! 書けないって〜! ■編集担当 「この前書けたから今回も楽勝楽勝♪」とか言って 安請け合いしてたじゃないですか!! ■小説家 それは〜、ちょっとした気の迷いっていうか〜、 若気のいたりっていうか〜。 ■編集担当 何が若気のいたりですか! 私より年上でしょうが!! とにかく! 今日が締め切りですからね! ちゃんと書いてもらわないと困ります!! ■小説家 あ! それじゃあまたハナちゃんのコイバナでも…… ■編集担当 却下!! (はっきり、強めに) <END>