==================================================== こえせん♪ボイスドラマ Act.3 【 わが家のひな祭り 】 ==================================================== << 出演 >> おとぼけなヤンママ(20代中盤):昊坂千鶴(ママ) しっかりした娘(小学校低学年):ししゃも(しーちゃん) (声のイメージは声優様にお任せ!) ▼台本ここから▼ ==================================================== ■娘 ただいまー! ■ママ おう! おかえりー。 ■娘 ママ、ちょっとお願いがあるんだけど…… ■ママ ん? 珍しいな、しーちゃんからお願いだなんて。 ■娘 もし、できたら、でいいんだけどね。 ■ママ なに遠慮してんだよ、ガキの癖に生意気だぞ? なんでも言ってみな? ■娘 うん。……えっとね、今度学校で「ひな祭りの会」があってね。 みんなでお人形作ったり、お飾りしたりするんだ。 ■ママ おう、そうか。面白そうじゃん。 ■娘 それで、その前に「わが家のひな祭り」っていうテーマで 作文を書いて持っていかないといけないんだけど…… ■ママ そっか。頑張って良いの書くんだぞ! ■娘 あ、うん、まあ、頑張って書くのはいいんだけど…… え〜と、ママ? ここまで言っても分からない? ■ママ ん? 作文だったら、ママが手伝わなくても しーちゃん得意じゃなかったっけ? ■娘 じゃなくて、テーマが「わが家のひな祭り」なんだよ! ■ママ うん、だからひな祭りの思い出を書けばいいんだろ? ■娘 ……はぁ。ホントに気づいてないんだね。 ■ママ 何だよ、はっきり言わねーと分かんねーって! ■娘 うちで、ひな祭りやったことない。 ■ママ ……え? ■娘 うちで「ひな祭り」なんてやったことないから 作文が書けないの! ■ママ ……あれ、そうだっけ? ■娘 そうだよ! たぶん赤ちゃんの時はおばあちゃんとかが やってくれてたと思うよ! アルバムで写真見たことあるから! でも、パパとママと私の3人で暮らし出してから、やってないでしょ! ■ママ よく覚えてるな〜。でも、そう言われれば、そうだな。 しーちゃんも、ひな祭りやりたいなら、やりたいって言えば良かったのに。 ■娘 一応、パパとママがいつもお仕事で忙しいの分かってたから 今まであえて口には出さなかったんだけど…… ■ママ いや〜、ママ自身、ひな祭りって興味なかったから まったく気にしてなかったわ。パパもそういうとこ鈍いし。 ■娘 なんて親だよ! あ〜、もうこの際なんだっていいんだけど さすがに今年は、作文のためにも「ひな祭り」して欲しいなと思って。 ……それが私からのお願い。 ■ママ う〜ん……と言ってもだな、何をすればいいんだ? ■娘 ええ〜! ママ、ひな祭りのやり方知らないの? ■ママ んなこと言われたって、しゃーねぇだろ。 ■娘 ママが知らなかったら、私だってどうしたらいいか分かんないよ! ■ママ ……じゃあ今からママと「ひな祭り」やってみるか! ■娘 え? ちゃんとできるの? ■ママ おう! 任せとけって! 「わが家の」っていうんだから 別に他所(よそ)と合わせる必要ないもんな。 ■娘 ……なんか、ちょっとだけ嫌な予感が(汗) -------------------------------------------- (場面切り替え) ■ママ よ〜っし! お着替え完了! ■娘 ……これは? ■ママ 着物! ひな祭りっぽいだろ? ■娘 浴衣じゃん! ちゃっかりママも着ちゃってるし! ■ママ うちに本格的な着物なんてあるわけないだろう? いいんだよ、雰囲気が出てれば! ■娘 しかもミニスカートっぽく、裾(すそ)上げまでしてるし…… うぅ、この季節には、まだちょっと肌寒いよ。 ■ママ この方がおしゃれで可愛いじゃん! それに、動いてればすぐに温かくなるって! ■娘 あとこのお化粧……つけまつ毛にアイシャドウにチークにグロス…… これじゃ、普通にギャルだよ! ■ママ だって、ひな祭りの化粧っていったら、あれだろ? なんか顔真っ白にして、真っ赤な口紅ちょこんとつけて。 あれ、あんまり可愛くないんだよね〜。 ■娘 ひな祭りじゃなくて夏祭りで浮かれてる女子大生みたいだよ! ■ママ これでもナチュラルメイクの範囲だぞ? 今時の女子はこういうのがモテるんだよ! ■娘 ……こんな格好じゃ絶対出歩けないよ(汗) ■ママ うし! それじゃ、次はひな人形だな! ■娘 ……でも、うちにはひな人形もないよね。 ■ママ そうだな〜……あ! しーちゃん、いくつかぬいぐるみとお人形さん持ってるよな? あとパパが趣味で集めてるフィギュアもあるし、それを代理で使おう。 ……ん? 代理の人形だからお内裏(だいり)様ってか!? わっはっはっは! ■娘 ……大丈夫かなぁ?(呆れた感じで) -------------------------------------------- (場面切り替え) ■ママ できた! 割とサマになってるじゃない! ■娘 う〜ん……ひな壇がダンボールなのは、この際いいとして お人形さんは、本当にこれで良かったのかな? ■ママ ひな人形の種類なんて、よく聞くのは、お内裏様とお雛様、 それに五人囃子(ごにんばやし)くらいなもんじゃね? ■娘 種類としては、そうかもしれないけど…… お内裏様がクマのぬいぐるみで、お雛様がシンデレラ人形。 五人囃子はパパのヒーロー戦隊フィギュア5体……なにこれ? ■ママ 完璧じゃん。 ■娘 どこが!? クマにさらわれたシンデレラを ヒーロー達が助けに行ってるようにしか見えないよ!? ■ママ んな細かいこと気にすんなよ! それに、見ただけでストーリーが浮かんでくる ひな人形なんて、他にないぜ? ■娘 ストーリーとかいらないよ! ひな人形を使ってどんなメッセージを伝えようとしてるの!? ■ママ そんなの、見た人によって受け取り方が違うもんさ! ■娘 これ見ても絶対なにも感じないよね。 ■ママ んじゃ、次は食いもんだな。ひな祭りに食うもんって言えば…… ■娘 ……はぁ、ママがだんだん乗ってきちゃってるよ。 -------------------------------------------- (場面切り替え) ■ママ よっと……お買い物も済んだし、これからお料理だな。 ■娘 まさか本当にこの格好で晩ご飯の買い出しに 連れて行かれると思ってなかったよ! ■ママ いや〜、あたしたち注目の的(まと)だったね〜。 まぁ? こんな美人親子? 他にいないもんね〜! あ〜愉快愉快! ■娘 あきらかに物珍しさで見られてたよね!? そりゃそうだよ! ミニスカ浴衣でギャルっぽい化粧した親子が スーパーで食材選んでるんだから! ■ママ いいじゃねぇか、女は見られて綺麗になるんだよ。 ■娘 私は恥ずかしかったの! ……もう、ママのせいで 私のひな祭り、ぐちゃぐちゃだよ〜!!(泣きかけ) ■ママ え? しーちゃん、何か言った? ■娘 ……なんでもない。 ■ママ そ、ならいいけどさ。 さ〜て、お料理お料理! しーちゃんも手伝ってね! ■娘 え、あぁ、うん。 ■ママ へっへ〜。しーちゃんのために スペシャルひな祭り料理、作っちゃうもんね〜! ■娘 ……ママ。 ■ママ ふんふふんふ〜ん♪ -------------------------------------------- (場面切り替え) ■ママ じゃじゃ〜ん!! ひな祭り限定メニュー、完成〜! ■娘 う、うん。一応、できた……けど。 ■ママ 特製混ぜご飯、特製味噌汁、特製鳥のから揚げ、 そして特製フルーツゼリー! ■娘 ね、ねぇママ? 手伝いながらも思ってたんだけどさ。 ……いつもと何が違うの? ■ママ へへん! 今日は特別に奮発したんだぜ? めでたいって意味を込めて、鯛の混ぜご飯と鯛の味噌汁だろ? それに、鳥のから揚げには、ちゃんと「ひな鳥」を使ってるんだ。 あとは、ひな祭りによく出てくる3色ゼリーみたいなやつ、の変わりに 味違いのゼリーを3つ。全部果肉入りだぞ! ■娘 はぁ〜。(ため息) ■ママ ん? どうかしたか? ■娘 ママ、そのオヤジギャグみたいな発想、なんとかならないの? ■ママ は? このハイセンスな語呂合わせをオヤジギャグと一緒にすんなよ! ■娘 一緒だよ。……ふふ……あははは! こんなひな祭り、だれもやらないよ〜(笑) ■ママ だから違うっつーの! ……ったく! ……でも、うまそうだろ? ■娘 ……うん! ■ママ よっしゃ! 見たかママの力を! ……お、ちょうどパパが帰ってきたな。おかえり〜! ほらパパ、どうこの浴衣! 可愛いっしょ〜! しーちゃんとひな祭り〜! どう? 惚れ直しちゃった? あ、そうだ、ひな壇も作ったんだぞ? パパのフィギュアもいい感じに飾ってあるから、見てみて〜。 ご飯も今日はちょっと豪勢だぞ? あ、それとも先にお風呂にする? うふ、そ・れ・と・も……って、なに子供の前で言わせてんのよ! わっはっはっは……(編集時フェードアウト) ■娘 ママのせいで、色々めちゃくちゃだったけど……これで良かったのかな? うふふ……でも、きっとこれが「わが家のひな祭り」なんだよね! -------------------------------------------------- (↓BGMが終わってから。編集時の話です;) ■娘 こうして、その日の夜は、色とりどりのお人形さんをかざったへやで パパとママとわたしで仲良く、ごうかなおゆうはんを楽しみました。 これが「わが家のひな祭り」です。(作文読み) ……こんな感じでどうかな? ■ママ うるうる……(泣) ■娘 ど、どうしたの、ママ? やっぱり変だったかな? ■ママ うわ〜ん! なんて、なんて感動的な作文なの! しーちゃん天才! ホント良い子に育ったよな〜!(感涙) ■娘 そんな大げさな……でも、ママのおかげで 楽しいひな祭りになったよ。ありがとう。 ■ママ うぅ! 泣かせるじゃないのよ! もう〜! わかった! 来年も絶対またやろうね〜! ■娘 あ、えーと……来年は、普通にしてね? <END>